短期集中でスプレッド
1月に株が上昇するとか、2日続けて株が下がったら翌日は上昇するとかいった過去の法則を見つけ出したら、それを使って、将来、儲けることができるというのだ。
非効率のほうはわかった。
効率のほうに話を移そう。
もしも日本の株式市場が効率的であればどうであろうか?結論から言おう!何をやっても、どんな努力をしても無駄なのである。
以上だ。
結論から言ってしまったので話が続かなくなってしまった。
やはり結論は後回しにすべきであった。
仕方がないので結論をこれくりまわそう。
効率的市場はぜぇ−んぜん儲からないという結論はいったいどういうことなのだろうか。ぜえ−んぜん儲からないということは、どんなに頑張っても、どれほどよい情報を見つけたとしても儲からないのだ。
なぜなら情報を得た、その剃那に株価は上昇してしまうからである。
情報を得た瞬間に価格が変化するから、安く買って高く売ることはできないのだ(高く売って安く買い戻すこともできない)。
どんな株式銘柄であれ、よい情報が出れば、その銘柄を買う前に瞬時に株価は情報を反映して上昇するのだ。
ほかの誰かよりも先に低い価格で買うことはできないのである。
ということは、ほかの誰かを出し抜いて儲けることは不可能なのである。
これってよくよく考えてみると、投資成果は市場の平均並みってことを言っているに等しい。
どんなに努力しても平均並みなのである。
言い換えると「市場平均には勝てない」ということなのである。
なんとあっさりとした結論であろうか。
ロマンも妙味もあったものじゃない。
市場が効率的だとしたら、難しい分析をする経済の専門家もファンドマネージャーもいらないのだ。
大きな声で言うとこの本の売れ行きに関わるから小さな声で言うが「金融工学も投資理論もいらないのだ!!」。
ファンドマネージャーが存在するわけ不思議である。
経済の専門家もファンドマネージャーも金融工学も投資理論も「いらない」とはいえ、存在するのである。
存在するということは、なんらかの価値があるはずである(少なくともそう信じたい)。
過去の株価の動きを分析することなど、過去の情報で将来の値動きを予想することができる。
株価情報などの過去の情報だけでは将来の株価を予想することはできない。財務諸表などの公開情報を自分なりに分析しないと将来の動きは予想できない。
どれだけ工夫しても公開情報をもとにしていては将来の株価の動きを予想することはできない。
何を、どう努力しようとも将来の株価の動向を知ることはできない。
直感的に考えてみよう。
経済の専門家が言うことも、ファンドマネージャーが言うことも、金融工学の分析結果も、投資理論もどれもまったく役に立たないのだろうか?少しは役に立つような、少しは儲かるような気がしないだろうか。
実際に、少しは儲かっている場合も確実に存在するのだ。
市場は効率的であるにしろ、何かが存在するのだ。
この「何か」とはいったいなんだろう。
効率的な市場はさらに3つに分割されていることを忘れていた。
正確に言えば、忘れていたのではなく、忘れたブリをしていた。
本当に忘れていて、タマタマ、今思い出したから3分割を持ち出すわけではない。
さて、3分割されている効率的市場がこの「何か」を解き明かすヒントになりそうだ。
F教授は「効率的な市場」を「弱い効率』性を持つ市場(WeakForm)」「まあまあ強い効率性を持つ市場(SemiStrongForm)」「強い効率性を持つ市場(StrongForm)」の3つに分割していたのだった。
効率的とはいえまったくなす術がないわけではなく、うまくすればほかの誰かより、あるいは市場平均より高いリターンを得ることができそうである。経済の専門家、ファンドマネージャー、そして金融工学や投資理論の立つ瀬もありそうだ。
経済の専門家とファンドマネージャーは失業の危機から、そして、この本は売れ行きの危機から解放されたのである。
次は効率的市場の定義について理解を深めよう。
市場には、効率的な市場と非効率的な市場がある。
非効率的な市場では過去のデータから将来を予測できるが、効率的市場では予測はとても難しい。
もし市場が効率的ならば、ファンドマネージャーは必要ない。
「なになに……効率的な市場というのは、過去の株価の動きだけを見ていてはダメなのか。
だとすれば何を見りやいいんだ?」しばらく考えていたあなたは「そうだ!」と膝をたたくはずである。
「株価の変動は、そもそも企業業績に左右されているではないか!ということは財務諸表などの公開情報を自分なりに分析してほかの投資家よりも先に企業業績を予測すればいいのではないか!?企業業績がよければ、それはすなわち株価の上昇につながるではないか!」あなたはいくつかの会社の財務諸表を分析した結果、B(株)が値上がりしそうだと予想し、B株を購入した。
その後、予想どおりにB社の株価は上昇し、3カ月後に高値で売却して利益を得ることに成功した。
ここで重要なのは過去と将来の使い分けである。
過去の情報(株価の動き)だけでは儲けることはできないことをあなたは知っている。
だから、将来予測を行うために公開情報である業績データを利用することにした。
過去データを単純に使うのではない方法で、将来を予測し、ほかの投資家よりも儲けることができたのである。
このようにして儲けることが可能な市場を「弱い効率性を持つ市場(WeakForm)」という。
あなたは財務諸表などの公開情報をもとにして、自分なりに将来予測することでしばらくの間はうまくいっていた。
ところが、徐々に利益を得ることができなくなってしまった。
時がたつにつれて儲からなくなってしまったのだ。
あなたは昼休みに「どうすればいいんだろう」と悩みながら、コーヒーを飲んでいる。
喫茶店の後ろの席に座ったサラリーマン2人連れの会話を聞くともなしに聞いている。
2人は(株)Wの営業マンのようである。
彼らは新製品の話をしている。
どうやら、その新製品が発売になると(株)Wの利益は10倍に膨れ上がるようだ。
当然、株価も急上昇するはず!コーヒーなんて飲んでいる場合じゃない。
あなたは喫茶店を飛び出し、近くの銀行からお金をおろし、札束を握りしめ、証券会社に向かって全速力で走る。
スダレ髪が乱れても気にせずに走る。
緩んだ下腹がゆれても走る。
全力で走っているあなたの視界に目的の証券会社が入ってきた。
店に飛び込みカウンターに駆けつける。
ニッコリ微笑むカウンターの販売員にそっとささやくのだ、誰にも気づかれないように。
「Wの株を買うぞ!」発表し、その後の株価はうなぎのぼり。
巨万の富を手にすることになる。
あなたはほかの投資家よりも早く情報を手に入れ、それにより彼らよりも高いリターンを手にしたのである。
株式市場の効率性が弱い場合には、このように何らかの努力や幸運により、ほかの投資家が知らない情報を利用して高い利益を得ることができる場合もあるのだ。
情報力の勝負である。
強い効率的市場で儲けられるかあなたが証券会社に向かって全速力で走るところまでは先ほどの話と同じである。
目的の証券会社が見えてきた。
でもここからが違うのだ。
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